

ストーカーと拡大自殺問題
■別れさせ屋フリーダム所属調査員 岸
現在、こちらのページをご覧になられている皆様は「拡大自殺(extended suicide)」という言葉を何処かで聞いたことがあるでしょうか。
今現在のところ、この「拡大自殺」という言葉について一致した見解はないようですが、おおよその意味としては「他者を相手の同意なく自殺行為に巻き込むこと」と言えます。
昨年となる2021年12月17日に発生し、大きく報道された「北新地ビル放火殺人事件」もクリニックを標的とした拡大自殺となりますが、この事件は死亡者27名(犠牲者26人と被疑者)と負傷者1名を出す大惨事となってしまいました。
また、2022年3月21日に発生した「中国東方航空5735便墜落事故」についても、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが何者かが故意に操作して墜落した可能性があると報じました。 ブラックボックスのデータなどから、「飛行機はコックピットにいた誰かに指示されたとおりに動いた」と関係者が指摘していると伝えており、米ABCテレビは「当局はパイロットの1人の私生活についても調べており、事故の直前に問題を抱えて苦しんでいた可能性があるとみている」と報道しています。 つまり、この中国東方航空機の墜落事故もパイロットの1人による拡大自殺の可能性が考えられるということです。
別れさせ屋フリーダム調査員・工作員のコラム第166回は、別れさせ屋業界も無関係ではいられない、拡大自殺とストーカーについてのお話となります。
実は以前から存在する拡大自殺事件
拡大自殺という言葉が有名になったのはここ数年といった印象がありますが、実は以前から拡大自殺事件はありました。
まず、2001年6月8日に起きた「附属池田小事件」。 これは児童8人が死亡、児童および教職員15人が負傷した無差別大量殺人事件として有名ですが、事件を起こした当時37歳の男は逮捕後に「何回も自殺を図ったが失敗した。捕まって死刑になりたかった」という旨の供述をしていたとされ、自殺願望を抱いていたことが明らかになっております。 実際に犯人は死刑判決に対して自ら控訴を取り下げたため、事件から3年しか経っていない異例の早さでの死刑執行となりました。
また、こちらも有名な事件ですが、2008年6月8日に発生した「秋葉原通り魔事件」の犯人も事件以前に自殺計画を練ったりしていたと言われており、同年となる2008年3月19日と同23日に茨城県で発生した「土浦連続殺傷事件」の犯人も「死刑になるために人を殺した」という動機を語っております。 さらに、2008年10月1日に発生した「大阪個室ビデオ店放火殺人事件」の犯人も衝動的に自殺を決意し、他の利用客が火災に巻き込まれて死亡してもかまわないと考えて犯行に及んだと言われております。(※犯人は既に死刑が確定していますが、現在は冤罪を主張)
まだまだ拡大自殺による事件はあります。 2021年10月31日に発生し、これもまた大きく報道された京王線ジョーカー事件こと「京王線刺傷事件」でも犯人の男は「死刑になりたかった」と供述、それを模倣したとして2021年11月8日にも69歳の男がオイルを九州新幹線の床に撒き、自殺を図った事件が起きました。
なお、日本で言うところの「無理心中」も拡大自殺に含まれるという見解もあり、無理心中も含めば拡大自殺による事件はかなり多く発生していることになります。
実はストーカーによる拡大自殺のような事件も起きています
北新地ビル放火殺人事件からひと月程度経ったあたりだったのでほとんど報道されなかったのですが、2022年1月に三重県四日市市で殺人と致傷、その後犯人は焼身自殺という事件が起きています。
これは交際中の男女が襲われて男性が死亡、女性も大けがを負ったという事件ですが、後に焼身自殺をした犯人はストーカー化した女性の元交際相手でした。
この件について三重県警は何もしなかったどころかしっかりと対応しており、まずは元交際相手に対してストーカー規制法に基づく口頭での警告を行いましたが、警告を受けた翌日に女性の車のナットを外す嫌がらせをしたため、この時点で三重県警は元交際相手を器物損壊容疑で逮捕しました。 その後罰金50万円という略式命令を受けて元交際相手が釈放された2022年1月14日、ストーカー規制法に基づき、三重県警は警告よりも重い「禁止命令」を出しています。 しかし、そのわずか11日後に殺傷事件は起きてしまいました。
三重県警は女性に自宅からの避難も勧めていたそうですが、女性は応じなかったようです。 仕事などもありますから簡単に転居できないのは分かるところですが、結果的にはこの判断が悔やまれます。
別れさせ屋も気を付けなければならない
このような法律が抑止力にならないストーカーこそ私たち別れさせ屋の出番であるとは思うのですが、こういった非常に危険な人物が対象者になる可能性を考慮して、今よりも一層色々と考えたり、気を付けていく必要はあると思われます。
ストーカー規制法の改正により、以前よりも警察の力だけで解決できるストーカー問題のケースが増えているのは間違いのないことですから、「ストーカー問題はまず警察」という前提は当然です。 しかし、警察による警告を無視する可能性がある人物の場合には警告を出された時点から対象者の行動調査を行うなど、興信所や探偵、弊社フリーダムのような別れさせ屋がタイミング見て関わることでストーカー被害者の方のリスクを下げることもできるのではないでしょうか。
また、その一方で私たち興信所や探偵、別れさせ屋側のリスクにも十分気を付けなければなりません。 行動調査を行う際、調査員は対象者への発覚を絶対に防がないといけませんし、別れさせ屋が工作員をストーカーに接触させて気を引いていくような別れ工作を行う場合には、引き時と撤収方法をしっかりと考えないと、こちらもご依頼者様や工作員などの身に危険が及んでしまう可能性もございます。
弊社別れさせ屋フリーダムも最新のストーカーへの対処方法など学び、さらに調査や恋愛工作を洗練させていく所存です。
拡大自殺に関する法的抑止力の限界
先ほど「法律が抑止力にならない」と述べさせていただいたように、拡大自殺の最も難しい点は、法による刑罰が抑止力にならないことにあると私は考えます。
現代の日本における最高刑は死刑ですが、そもそも本人が死を望んでいるので死刑では刑罰になっていないという点もあり、加えてその他の刑罰も自殺に成功してしまえば、ある意味「刑罰を逃げ切った」ことになってしまいます。
先ほどの三重県四日市市の事件に関する記事で「ストーカー加害者に対する治療の重要性」という話がありましたが、北新地ビル放火殺人事件では心療内科クリニック自体が標的になってしまいましたし、これはとても難しい問題と言えそうです……
今回のコラム著者情報
調査員 岸
別れさせ屋フリーダムに入社して9年目の調査員。非常に丁寧かつ模範的な調査報告書を書くことに定評があるため、現場仕事以外にも新人調査員の教育用資料の製作や指導も担当。その一方で、丁寧に教えようとするあまりに説明が長くなってしまうこともあるのが玉にきず。
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