別れさせ屋コラム|調査とアウティングの問題を考える

東京都公安委員会第30220050号
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別れさせ屋・探偵の仕事とアウティングの問題

■別れさせ屋フリーダム所属調査員 篠田

コラム第39回は「別れさせ屋・探偵の仕事とアウティングの問題」というタイトルにて、別れさせ屋フリーダム所属調査員の篠田が別れさせ屋・探偵という仕事と、それに絡むアウティングの問題について書かせていただきます。

人と人との関係性に密接に関わる別れさせ屋や探偵という職業では、プライバシーや倫理に関わるデリケートな問題と対峙する場面が避けられません。 そして、その中には私たち自身が抱えるジレンマや判断を伴う場面もございます。 今回のコラムテーマである「アウティング」の問題もその一つです。 別れさせ屋や探偵は、このデリケートな問題にどう向き合っていけば良いのでしょうか。

別れさせ屋フリーダムのコラムページをご覧の方の中には、「アウティング」という単語を聞いたことのない方もいらっしゃると思います。 そのため、まずは「アウティング」についてご説明させていただきます。

アウティングとは?

アウティングとは?

「アウティング」とはレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー(LGBT)の方について、本人の了解を得ずに、本人が公にしていない性的指向や性同一性等の秘密を暴露する行動のことを言います。 この行動は本人が秘密にしている性的指向や性同一性を暴露するものであり、個人のプライバシー権を大きく侵害する問題行為です。 アウティングは精神的な苦痛を招く行為として社会的に問題視されております。

実際に、アウティングによって深刻な事態が生じた例として、「一橋大学アウティング事件」が挙げられます。 一橋大学アウティング事件とは、一橋大学法科大学院の男子学生が、同性愛の恋愛感情を告白した別の男子学生による同性愛の暴露(アウティング)をきっかけに心身に変調をきたすようになり、最終的には同性愛の恋愛感情を告白したゲイの学生が投身自殺を図って転落死してしまった、痛ましい事件のことです。

先日、一橋大学アウティング事件について、同級生とご遺族の方が和解したというニュースが流れましたが、このようにアウティングは個人の尊厳を傷つけ、命に関わる深刻な問題に発展する可能性があるため、十分な配慮が求められる行為と言えます。

別れさせ屋や探偵の仕事とLGBTの問題とは?

別れさせ屋や探偵とLGBTの方々に関する話

別れさせ屋や探偵の仕事において、「LGBTの方からの調査依頼や工作依頼」、また「調査対象者の方や工作対象者の方がLGBTであった」「調査中に対象者の方や工作対象者の方がLGBTであったことが判明した」というご依頼ケースは、多いとは言えませんが稀にございます。

今回のコラム執筆と内容の更新にあたり、他の別れさせ屋や探偵業界がアウティングの懸念についてどのように考えているかを調査いたしましたが、2024年10月26日時点でもアウティング問題について言及している業界ページは見当たりませんでした。 つまり、現時点では別れさせ屋業界も探偵業界も、アウティングについての問題意識や危機意識を全く持っていないということになります。

一橋大学アウティング事件でも分かるとおり、本人の望まないアウティングはLGBTの方の心を大きく傷付け、最悪の場合には自死(自殺)に至らしめるほどの大きな問題です。

ただ、「LGBTの方からの調査依頼や工作依頼」、また「ご依頼者様が事前に知っているケースでの調査対象者の方や工作対象者の方がLGBT」については、探偵業法によって守秘義務が規定されていることから、管轄の公安委員会に探偵業届出を提出している真っ当な探偵や別れさせ屋であればアウティングの問題は発生しないと考えられます。

調査中に対象者がLGBTであったことが判明した場合が問題

しかし、大きな問題となるケースもございます。 「調査中に対象者の方や工作対象者の方がLGBTであったことが判明した」というご依頼ケースです。 調査中に対象者がLGBTであることが判明した場合、別れさせ屋や探偵にとって非常に厳しい判断が求められます。

この情報を依頼者に伝えるべきかどうかは、アウティングの問題と直結するため、非常に問題になるケースと言えるでしょう。

しかし、色々な考え方があるかと思いますが、基本的に探偵という仕事は「調査で判明した事実を、ありのままご依頼者様に報告する仕事」です。 調査対象者の方がLGBTであると具体的に伝える必要があるかについては問題となりますが、動画や写真でありのままの行動を報告した結果、調査対象者の方がLGBTと推測されるであろうというケースについては、そのまま報告せざるを得ないでしょう。

別れさせ屋においても、「出会い・お付き合い工作の事前調査で対象者の方がLGBTだと発覚したケース」は、それをご依頼者様に隠してしまうと、「お付き合いまで」というご依頼の場合には、成功の見込みのないご依頼を請けることになり、ご依頼者様を騙したことになってしまいます。 これはご依頼者様に対して誠実な対応とは言えませんので、やはりこういった場合もご報告せざるを得ないと思われます。

探偵業法第六条に照らし合わせるとどうなるのか?

探偵業とアウティングは難しい問題になりそうです

ただし、探偵業法には、第六条に『人の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない』という明確な規定がございます。 これを鑑みた場合、探偵や探偵業届出を行っている別れさせ屋は、ご依頼者様への報告においても、対象者の権利利益を損なうこのとないようにしなければなりません。

しかし、現時点ではLGBTの情報に関わる問題において、この法律が具体的にどのように適用されるかについては前例が乏しく、解釈が難しい点が残っております。 業界としても、アウティングに関連する問題に対するガイドラインや方針が確立されていないため、各社が個別の判断で対応しているのが現状です。 今後、アウティングに関連するトラブルや訴訟が発生する可能性も否定できません。

別れさせ屋・探偵の仕事とアウティングの問題、これは非常に難しい問題です。 探偵業界と対象者双方のリスクを低減するため、法的な解釈や対応の整備が進むことが期待されます。

今回のコラム著者・別れさせ屋フリーダム調査員の情報

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